text:sesuisho:n_sesuisho7-011
醒睡笑 巻7 思の色を外にいふ
11 酒つくる亭主町屋は空地なしいかにも広きところに住みたや住みたやと・・・
校訂本文
酒造る亭主、「町屋は空地(くうち)なし。いかにも広きところに住みたや、住みたや」と、明けても暮れても案じけるが、ある時、京の三十三間1)に参り、ねんごろに見物し、堂の前にくだり、友達に向かひて、「別に望みはない。われはこの堂か欲しいは」。「何事にや」。「酒部屋にしたい」。
翻刻
一 酒つくる亭主町(まち)屋は空地(くうち)なしいかにも ひろき処にすみたやすみたやと明て も暮ても案じけるが有時京の三十三間 に参りねんごろに見物し堂(だう)の前にくだ り友たちにむかひて別にのぞみはない我 は此堂かほしいは何事にや酒部屋に したい/n7-9r
1)
三十三間堂・蓮華王院
text/sesuisho/n_sesuisho7-011.txt · 最終更新: 2022/06/15 22:04 by Satoshi Nakagawa