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text:sesuisho:n_sesuisho6-130

醒睡笑 巻6 うそつき

10 神妙にもなき人集りゐける中に一人言ふ・・・

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神妙1)にもなき人、集りゐける中に、一人言ふ、「そなたたちのうちに、雷(かみなり)の鮨(すし)を食うた人があるか」。「いや、なし」。「さうあらう。まれな物ぢやほどに」。「して、そちは食うたか」。「なかなか食うた」。「味は甘いか酸(す)いか」と問ふに、「ちと雲臭かつた」と。

「雲無心にして岫(しう)を出づ2)」とあれば、「土臭い」とせめて言へかし3)

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一 神様にもなき人あつまりゐける中に一人
  いふそなたたちのうちにかみなりのすしをくふ
  た人かあるかいやなし左右あらふまれな物
  しやほとにしてそちはくふたか中々くふた味は
  あまいかすいかととふにちと雲くさかつたと/n6-64r
   雲無心にして岫を出とあれは土くさいとせめていへかし/n6-64l
1)
「神妙」は底本「神様」。諸本により訂正。
2)
陶淵明「帰去来辞」
3)
底本この文、数文字下げで小書き。
text/sesuisho/n_sesuisho6-130.txt · 最終更新: 2022/06/09 16:30 by Satoshi Nakagawa