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醒睡笑 巻6 推はちがうた
20 庄官たる者堤の祈祷とて発句をし百韻興行の後宗迶のもとにつかはし・・・
校訂本文
庄官たる者、堤(つつみ)の祈祷とて発句をし、百韻興行の後、宗迶1)のもとにつかはし、点(てん)を乞ひければ、九十九句に点かかり、発句ばかりになし。「さてはいづれも、かたのごとく出来たる物よ」と思ひ、わざと出で立ち行き、尋ね聞くに、「いや点にはあらず。一句にても良しと思はぬより、みな消したるなり」。「発句は良きかや」。「さればとよ、今の発句切れ字なし。常ならは沙汰のほかなるべけれど、塘(つつみ)のためにせめてならんと、こればかりに棒をあびせぬ2)」と申されし。
翻刻
一 庄官たる者堤の祈祷とて発句をし百韻 興行の後宗迶のもとに遣し点(てん)をこひけれ は九十九句に点かかり発句斗になし扨はいづれ/n6-50r
もかたのことく出来たる物よとおもひ態出立行 尋きくにいやてんにはあらす一句にてもよしと 思はぬよりみなけしたるなり発句はよきかや されはとよ今の発句きれ字なし常ならは沙汰の 外なるへけれと塘(つつみ)のためにせめてならんとこれ 斗に棒をあひけぬと申されし/n6-50l
text/sesuisho/n_sesuisho6-103.txt · 最終更新: 2022/05/28 14:55 by Satoshi Nakagawa