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醒睡笑 巻6 推はちがうた
16 おどけ者天王寺の石の鳥居を見われはこの鳥居を造作もなくきり落さん・・・
校訂本文
おどけ者、天王寺1)の石の鳥居を見、「われはこの鳥居を、造作もなくきり落さん」と言ふ。そばにある者、「何として切り落さるるものぞや」と争ふ時、件(くだん)の男、鳥居の上に上がり、笠木(かさぎ)を馬乗りにして居けり。「早く切り落せ」と言ふ時、「すなはち、腰より錐(きり)を抜き出だして落したり。取りて見れば、四つ目錐なり。「これは」と問へば、「さればこそ、石の鳥居を錐(きり)落さうと言ふたは」と。
翻刻
一 おどけ者天王寺の石の鳥居を見我は此鳥 居を造作もなくきりおとさんといふそばに ある者なにとしてきりをとさるる物ぞやと あらそふ時件の男鳥居の上にあかりかさ きを馬のりにして居けりはやくきりおとせ といふ時則腰より錐をぬき出しておとしたり とりてみれは四つ目きりなりこれはととへはさ れはこそ石の鳥居をきりおとさうといふたはと/n6-48l
1)
四天王寺
text/sesuisho/n_sesuisho6-099.txt · 最終更新: 2022/05/25 15:50 by Satoshi Nakagawa