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醒睡笑 巻6 推はちがうた

15 和泉の堺市の町に金城とて平家の下手あり・・・

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和泉の堺、市(いち)の町に、金城とて平家の下手あり。正月初参会(はつさんくわい)に出でて、「祝儀を申さんや」とうかがふ。「もつともよからん」とあり。

琵琶を調べけるに、座敷静まりたれば、「わが平家を真にかまへ、みな人よく聞かるるぞ」と思ひ、長々と語る。役人出でて、「もはや平家をおやめあれ。人は平家の始まると、そのまま立ちて一人もないに1)」と。

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一 和泉の境市の町に金城とて平家の下手
  有正月はつ参会に出て祝儀を申さんや
  と伺ふ尤よからんとあり琵琶を調けるに
  座敷しつまりたれは我平家を真にかまへ皆
  人よくきかるるそと思ひ長々とかたる役人出てもは
  や平家をおやめあれ人は平家のはしまるとそのまま/n6-48r
  たちてひとりしないにと/n6-48l
1)
「もないに」は底本「しないに」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho6-098.txt · 最終更新: 2022/05/25 15:40 by Satoshi Nakagawa