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醒睡笑 巻6 推はちがうた
13 和泉の堺に森河といふ太鼓打ありまた餅をもつかせて商ふ・・・
校訂本文
和泉の堺に、森河といふ太鼓打あり。また餅をもつかせて商ふ。神事能(じんじのう)の時、楽屋より太鼓を持ちて橋懸(はしがかり)に出でたるを、人々見るとひとしく、「あれこそ隠れもない上手よ」と、土民のやうなる者ども指さす。「さては、わが太鼓はよく人の讃むるぞ」と思ひ、くすみゐたるところへ、また一人老いたる百姓の来たり見、「あれこそ、いかい餅の上手よ」と申した。
翻刻
一 和泉の境(さかい)に森河といふ大鼓打あり又餅を もつかせてあきなふ神事能の時かく屋より 大鼓を持て橋かかりに出たるを人々見るとひと しくあれこそかくれもない上手よと土民のやう なる者ともゆひさす扨は我大鼓はよく人のほ むるそとおもひくすみゐたる処へ又一人老たる百 性の来り見あれこそいかい餅の上手よと申た/n6-47l
text/sesuisho/n_sesuisho6-096.txt · 最終更新: 2022/05/25 14:59 by Satoshi Nakagawa