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text:sesuisho:n_sesuisho6-076

醒睡笑 巻6 詮ない秘密

1 田夫畠を打つ折節隣郷の百姓通りあはせこれは何を蒔くぞと言ふに・・・

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田夫、畠を打つ折節、隣郷(りんがう)の百姓通りあはせ、「これは何を蒔くぞ」と言ふに、かの畠打ち小手招きし、「あ、声が高い。低(ひき)う、低う」と言ふ。「さては世にまれなる物の種をも植ゆるにや」と思ひ、「心得たり」と近く寄りたれば、いかにもおのれが調子を低(ひき)く、「大豆を蒔く。鳩が聞くほどに」。

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   詮ない秘密
一 田夫畠をうつおりふし隣郷の百姓とをり
  あはせこれはなにをまくそといふに彼はた
  うちこてまねきしあ声かたかいひきうひきうと
  いふさては世にまれなる物のたねをもうゆる
  にやとおもひ心得たりとちかくよりたれは如何にも
  をのれか調子をひきく大豆をまく鳩かきく程に/n6-38l
text/sesuisho/n_sesuisho6-076.txt · 最終更新: 2022/05/14 22:02 by Satoshi Nakagawa