text:sesuisho:n_sesuisho6-065
醒睡笑 巻6 恋のみち
6 こなたの宮法師殿昨日花のもとの一節は何に比べんやうもなや・・・
校訂本文
「こなたの宮法師殿、昨日花のもとの一節(ひとふし)は何に比べんやうもなや。耳をそばだてて聞き、人讃めぬはなし」と語る。母上、「宮法師は何として、そのやうに声はよく立つぞや」と独り言を言へり。親ぢや人1)、ほそ声に、「いまだその道がなきに」と言はれける時、「そのかたがなうて声のよくは、そなたが声は迦陵頻2)ほどたたんことよ」。
翻刻
一 こなたの宮法師殿昨日花のもとの一ふしは何 にくらべんやうもなや耳をそはたててきき 人ほめぬはなしとかたる母上宮法師はなにと してそのやうに声はよくたつそやとひとり/n6-32l
ことをいへり親しや人ほそ声にいまたそのみ ちかなきにといはれける時そのかたがなうて声の よくはそなたか声は迦陵頻ほとたたむ事よ/n6-33r
text/sesuisho/n_sesuisho6-065.txt · 最終更新: 2022/05/08 11:55 by Satoshi Nakagawa