text:sesuisho:n_sesuisho6-064
醒睡笑 巻6 恋のみち
5 亭主の心に女房はよく寝入りたるやと思ひ二階に候ふ下主のもとへ・・・
校訂本文
亭主の心に、「女房はよく寝入りたるや」と思ひ、二階に候ふ下主(げす)のもとへ、そと忍びたれば、妻はよく知りて、火を灯(とぼ)し、あとより上がる。男、着る物をかぶり、座敷の隅にうつぶしになり、かがみけるを、あまりのをかしさに、女房、「ここななりは。そのまま鶉(うづら)のやうに」と言ひしを、男、言葉はなくて、「ちちくはい」と。
図にはづれた鶉であらうよ1)。
翻刻
一 亭主の心に女房はよくねいりたるやとおもひ二 階に候下主の本へそと忍ひたれは妻はよ/n6-32r
くしりて火をとほしあとよりあかる男きる物 をかぶり座敷のすみにうつぶしになりかがみける をあまりのおかしさに女房ここななりはその まま鶉のやうにといひしを男ことばはなくてち ちくはいと つにはつれた鶉てあらふよ/n6-32l
1)
底本、この文小書き。
text/sesuisho/n_sesuisho6-064.txt · 最終更新: 2022/05/08 11:38 by Satoshi Nakagawa