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text:sesuisho:n_sesuisho6-037

醒睡笑 巻6 児の噂

37 比叡の山へ侍の子と鍋屋の子と登山し一つ寺に児となりてゐたり・・・

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比叡(ひえ)の山1)へ、侍の子と、鍋屋の子と、登山(とうざん)し、一つ寺に児(ちご)となりてゐたり。

ある時、煎豆(いりまめ)を菓子に出だしたるが、よく煎りたるとなま煎りなると混りたりし。坊主、「おもしろきできやうなり。これを一首宛案ぜよ」とあるに、侍の子息、

  奥山に狩場(かりば)の鹿は多くしていられたもありいられぬもあり2)

鍋屋の息子、

  このほどはあつらへ鍋の多くしていられたもありいられぬもあり3)

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一 ひえの山へ侍の子と鍋屋の子と登山し
  一つ寺に児となりて居たり或時煎豆を菓子
  に出したるがよくいりたるとなまいりなると
  ましりたりし坊主おもしろき出来様なり
  是を一首宛案せよとあるに侍の子息/n6-18r
   奥山にかりはの鹿はおほくして
   いられたもありいられぬもあり
  鍋屋のむすこ
   このほとはあつらへなへのおほくして
   いられたもありいられぬもあり/n6-18l
1)
比叡山延暦寺
2)
射る・煎る
3)
鋳る・煎る
text/sesuisho/n_sesuisho6-037.txt · 最終更新: 2022/04/26 16:06 by Satoshi Nakagawa