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醒睡笑 巻6 児の噂
5 三伏の暑き日に坊主他行のことあり・・・
校訂本文
三伏(さんぷく)の暑き日に、坊主他行のことあり。夏の夜は宵ながら明けやすき、月の更けてもいまだ戻られねば、児(ちご)みなくたびれ、帯もとくやとかずに寝(い)ねたる所へ、老僧帰り来て、「さてさて、ここな子たちがなりは。そのまま鮨(すし)をしたやうなは」と申されける時、児の内にかしこきが起きあはせ、「いかほとの鮨も見たれど、これほど腹に飯(いひ)の無い鮨をば見たことがない」と。
翻刻
一 三伏のあつき日に坊主他行の事あり夏 の夜はよひなから明やすき月のふけてもい またもとられねは児みなくたひれおひもと くやとかすにいねたる所へ老僧かへり来てさ てさて爰な子たちかなりは其まますしをした やうなはと申されける時児の内にかしこきかおき あはせいかほとのすじもみたれとこれほとはらに いひのないすしをはみた事かないと/n6-6l
text/sesuisho/n_sesuisho6-005.txt · 最終更新: 2022/04/21 10:55 by Satoshi Nakagawa