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text:sesuisho:n_sesuisho5-093

醒睡笑 巻5 人はそだち

26 山家に候ふ聟が市に出で用をととのへ日の暮れてより舅のもとに立ち寄る・・・

校訂本文

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山家に候ふ聟が市に出で、用をととのへ、日の暮れてより、舅(しうと)のもとに立ち寄る。舅、「まづ洗足(せんそく)を参らせよ」とあれば、「せんそく」を夕飯(ゆふめし)のことと合点し1)、「こなたにてはやとく、せんそくいたいた」と。「さらば、あんどうを参らせよ」と言ふ。これも「行灯(あんどう)を知らねば、「食ひもののことや」と思ひ、「これはかかるお時宜(じぎ)、あんどうを給はるほどならば、せんそくをこそ給べうずれ」と。

  油つき2)あんどんげなる光かな   春可

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翻刻

一 山家(か)に候むこが市に出用をととのへ日のくれて
  よりしうとのもとにたちよるしうとまづせんそく
  を参らせよとあればせんそくを夕めしの事
  とそんし此方にてはやとくせんそくいたゐ/n5-64r
  たとさらばあんとうをまいらせよといふ是も
  あんとうをしらねはくひものの事やと思ひ
  これはかかるお時宜あんどうをたまはるほと
  ならはせんそくをこそたべうすれと
   油つきあんとんげなる光哉   春可/n5-64l
1)
「合点し」は底本「そんし」。諸本により訂正。
2)
油月・油坏・油尽き
text/sesuisho/n_sesuisho5-093.txt · 最終更新: 2022/03/28 12:07 by Satoshi Nakagawa