text:sesuisho:n_sesuisho5-090
醒睡笑 巻5 人はそだち
23 質屋の娘嫁入し夫婦の仲もよかりしが・・・
校訂本文
質屋の娘嫁入し、夫婦の仲もよかりしが、かりそめのことをも九九の言葉をはなさず使ふ。たまさかなる客の前にても、とかく九九にて物を言ふ。せん方もなき恥かしさに、かの女をば去りてけり。
妻、家を別れ行くにも、なほ幼きより言ひ学びたれば、「三四十二で嫁入りし、四四十六で子をまうけ、四五二十にて去らるるよ」と。
四四ならば十六つれて行くべきに九九にもるるか独り走るは
あだ花は二九の十八ささげかな
翻刻
一 質屋の娘嫁入し夫婦のなかもよかりし がかりそめの事をも九九のことばをはなさ すつかふたまさかなる客のまへにてもとかく 九九にて物をいふせんかたもなきはつかしさに かのをんなをばさりてけり妻家をわかれ行 にも猶おさなきよりいひまなびたれは三 四十二でよめいりし四四十六で子をまう け四五廿にてさらるるよと 四四ならは十六つれて行へきに/n5-62l
九九にもるるか独走るは あだはなは二九の十八ささげかな/n5-63r
text/sesuisho/n_sesuisho5-090.txt · 最終更新: 2022/03/25 11:13 by Satoshi Nakagawa