text:sesuisho:n_sesuisho5-087
醒睡笑 巻5 人はそだち
20 たそがれ時に何の音とも知らずはたはたと鳴る・・・
校訂本文
たそがれ時に、何の音とも知らず、はたはたと鳴る。
歌詠む人の子息は、「叩く水鶏(くひな)の声にやあらん」。
侍の子息たりしは、「物の具の音ならん」と。
農人(のうじん)の子は、「麦打つ音であらうず」と。
五月雨にかたつき麦を干しかねて宇治の里人宵寝をぞする
翻刻
一 たそかれ時になにのをとともしらずはたはたと なる歌よむ人の子息はたたく水鶏(くひな)の声 にやあらん侍の子息たりしは物の具の音 ならんと農人の子は麦うつをとであらふずと 五月雨にかたつき麦をほしかねて 宇治の里人宵(よひ)ねをそする/n5-61r
text/sesuisho/n_sesuisho5-087.txt · 最終更新: 2022/03/23 16:00 by Satoshi Nakagawa