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text:sesuisho:n_sesuisho5-042

醒睡笑 巻5 婲心

42 美濃の岐阜に宗湖とて連歌の上手家貧しかりし・・・

校訂本文

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美濃の岐阜に、宗湖とて連歌の上手、家貧しかりし。堀池といふ福人のもとに質を置き、毎年受くることなく過ぎし。

「この冬の小袖をば、何とかせん」と思ひつらね、

  倉の内にいかなる海のあるやらんわが置くく質の流れぬはなし

これを送りあれば、堀池、「詩1)作つて酒を買はれ たる廬山(ろざん)の遠公2)にも心ざま似たり」といとほしがり、質に何やらん添へて戻したると聞く。

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翻刻

一 美濃の岐阜(きふ)に宗湖とて連哥の上手家
  まずしかりし堀池といふ福人のもとに
  質を置(おき)毎年うくる事なく過し此冬の
  小袖をはなにとかせんとおもひつらね
   倉の内にいかなる海のあるやらん
    我おくしちのなかれぬはなし
  是を送りあれば堀池侍つくつて酒をかはれ
  たる廬山(ろさん)の遠公にも心さまにたりといと/n5-22l
  おしがりしちになにやらんそへてもとしたる
  ときく/n5-23r
1)
「詩」は底本「侍」。諸本により訂正。
2)
恵遠
text/sesuisho/n_sesuisho5-042.txt · 最終更新: 2022/03/03 23:24 by Satoshi Nakagawa