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醒睡笑 巻4 いやな批判
10 山家に晴れがましき客を請ずるとて白鳥を求めにつかはす・・・
校訂本文
山家(やまが)に晴れがましき客を請ずるとて、白鳥を求めにつかはす。使、鳥の姿を問はば、「ただ、白き鳥なり」と教ゆる。心得て市に出で尋ぬるになし。ある棚(たな)に白き卵(かいこ)のやうなる物あり。これをしり目にかけ、「白鳥買はう、白鳥買はう」と呼ばはるまま、かしこき亭(てい)にて、「白鳥を売らん」と呼び入れ、饅頭(まんぢゆう)二十を一貫に売りけり。
取りて帰り、庖丁人(はうちやうにん)に見せたれば、「疑ひもなき白鳥なり」と切りて、中を見るに、大概(たいがい)小豆の風味あり。「今年、小豆が高い高いと言ふたは道理かな。いくらの白鳥が、このごとく食らふほどに」と。
翻刻
一 山家にはれかましき客(きやく)を請(しやう)するとて白鳥/n4-31l
をもとめにつかはす使(つかい)鳥のすがたをとははたた しろきとりなりとをしゆるこころえて市に 出たつぬるになしある棚(たな)にしろきかいこの やうなる物あり是をしり目にかけ白鳥(はくてう)かはふ 白鳥かはふとよははるままかしこき亭(てい)にて白鳥を うらんとよひ入まんぢう廿を一貫にうりけり 取て帰り庖丁人(はうてうにん)に見せたれは疑ひもなき白鳥 なりときりてなかを見るに大概小豆の風 味あり今年(ことし)あつきがたかいたかいといふたは道(たう)/n4-32r
理かないくらの白鳥か此ことくくらふほどにと/n4-32l
text/sesuisho/n_sesuisho4-037.txt · 最終更新: 2021/11/28 22:50 by Satoshi Nakagawa