text:sesuisho:n_sesuisho4-029
醒睡笑 巻4 いやな批判
2 道行きぶりに蛇の竹に刺してあるを見・・・
校訂本文
道行きぶりに、蛇(くちなは)の竹に刺してあるを見、先なる者、「いかい『へべう1)』があるは」と。次なる者、「いや、これは『へべう』ではない。『ぐつねふ2)』といふものぞ」と、互ひに争ひしが、「この上の山寺に物知りの出家ありと聞く。それに行きて理(り)をすまさん」と、かしこに至る。坊主見て、「どちも悪い。これは『まむそう3)』といふものにすんだ」と。
二人ながら、心にはすまねど、「物知りの批判なれば、あまりに違(ちが)うまい」と合点す。
翻刻
一 道ゆきふりにくちなはの竹にさしてあるを/n4-27r
見先なる者いかいへべうがあるはと次なるもの いやこれはへべうではないぐつねふといふ物 ぞと互にあらそひしが此上の山寺に物しりの 出家ありときくそれに行て理をすまさんとか しこにいたる坊主見てどちもわるいこれは まむそうといふ物にすんだと二人なから心にはすま ねど物しりの批判なれはあまりにちがうまいと 合点(かてん)す/n4-27l
text/sesuisho/n_sesuisho4-029.txt · 最終更新: 2021/11/25 01:15 by Satoshi Nakagawa