text:sesuisho:n_sesuisho3-103
醒睡笑 巻3 清僧
4 さしも尊き老僧のもとへ松茸の盛りなるを人の贈りたり・・・
校訂本文
さしも尊(たつと)き老僧のもとへ、松茸の盛りなるを、人の贈りたり。とりはやし褒めゐけるところに、粗忽(そこつ)なる小僧の出でて、松茸一つ取り上げ、「これはそのまま、これの地蔵の頭に似たは」と申しければ、老僧、涙を流し、衣(ころも)を着(ちやく)し、地蔵の前に参り、「今、小僧めが申せし狼藉(らうぜき)を、まつぴらわれに対して許し給へ」と悲しまれしは、思ひやられてありがたや。
翻刻
一 さしもたつとき老僧のもとへ松茸のさ かりなるを人のおくりたりとりはやし ほめゐける処にそこつ成小僧の出てまつ たけ一つ取あけこれはそのままこれの 地蔵のあたまににたはと申けれは老僧 涙をなかし衣を着し地蔵のまへに 参今小僧めか申せし狼藉(らうぜき)をまつひら 我に対(たい)してゆるし給へとかなしまれしは/n3-50r
おもひやられてありかたや/n3-50l
text/sesuisho/n_sesuisho3-103.txt · 最終更新: 2021/11/07 11:36 by Satoshi Nakagawa