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text:sesuisho:n_sesuisho3-091

醒睡笑 巻3 自堕落

15 一日の精進を千日とも思ひこらへかぬる人はままあり・・・

校訂本文

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一日の精進を千日とも思ひ、こらへかぬる人はままあり。

さる間、一人の老人、他事(たじ)なき知音(ちいん)のもとに終日(ひめもす)物語し、暮れに及んで座を立つ時、「明日はわが親の日なり。無菜(ぶさい)の斎(とき)を参らせんや」と、亭の言ひければ、手を合はせ、「まつぴら御免あれ。私の親の日1)さへ難儀するに、そなたの親の精進まではのう、いやや」とぞ申しける。

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一 一日の精進(しやうしん)を千日ともおもひこらへかぬる人
  はままありさるあいたひとりの老人他事
  なき知音のもとに終日(ひめもす)物語し暮におよ
  むて座をたつ時明日は我親の日なり無
  菜(さい)の斎(とき)を参らせんやと亭のいひければ
  手をあはせまつひら御免あれ私の親の
  ゐさへ難義(なんき)するにそなたの親の精進/n3-42l
  まではのふいややとそ申ける/n3-43r
1)
「日」は底本「ゐ」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho3-091.txt · 最終更新: 2021/10/31 16:30 by Satoshi Nakagawa