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醒睡笑 巻3 自堕落
10 僧俗ともにまじはり語りなぐさむ座敷にてある坊主急に咳をしけるが・・・
校訂本文
僧俗ともにまじはり、語りなぐさむ座敷にて、ある坊主、急に咳(すはぶき)をしけるが、喉より痰のかたまりたるやうなる物を吐き出だしたり。そばにゐたる男の取りて見れば、蛸(たこ)なり。「これは異な物が出た」と、口をそろへて言ひければ、「されば喝食(かつしき)1)の時食うてあつたが、今出でた。つねに蛸は消えかぬると言ふが、まことじやよ」。
翻刻
一 僧俗ともにましはり語(かた)りなくさむ座敷にて ある坊主急(きう)に咳(すはふき)をしけるが喉(のと)より痰(たん)のかた まりたる様なる物をはきいたしたりそはに ゐたる男の取て見れば蛸(たこ)なり是はゐな 物か出たと口をそろへていひければされは喝 食の時くふてあつたが今出たつねに蛸 はきえかぬるといふが誠じやよ/n3-40l
1)
寺の児
text/sesuisho/n_sesuisho3-086.txt · 最終更新: 2021/10/30 17:12 by Satoshi Nakagawa