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text:sesuisho:n_sesuisho3-061

醒睡笑 巻3 不文字

42 京よりいたらぬ者とも連れ立ち石山寺に参り・・・

校訂本文

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京より、いたらぬ者とも連れ立ち、石山寺に参り、縁起を所望して読ませ聞き、「そもそも、この石山寺は、前に湖水あり、後ろに山あり、峰に塔あり、谷に塔あり、仁王門あり」。

すでに読み果てぬる時、一人が申けるは、「誰人(たれひと)の建立(こんりふ)とこそ存じつるに、さては飛鳥井殿1)の建てさせ給ひて候ふよのう」。「その願主は、何の合点(がつてん)より言ふぞや」。「そのことよ。縁起の次第が2)いづれの言葉にも、なにあり、かあり、ありあり3)と読まれたほどに、さうかと思うて」。

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一 京よりいたらぬ者ともつれたち石山でらに
  参り縁起(ゑんぎ)を所望してよませきき抑
  此石山寺は前に湖水(こすい)ありうしろに山あり
  峯に塔(とう)あり谷に塔あり仁王門あり既(すで)に
  よみはてぬる時一人か申けるは誰人の建立(こんりう)
  とこそ存つるに扨は飛鳥井殿(あすかゐどの)のたてさせ/n3-27r
  給ひて候よのう其願主はなにの合点(がつてん)より
  いふぞや其事よ縁起の次第分いつれの
  ことばにもなにありかありありありとよま
  れたほどにさうかとおもふて/n3-27l
1)
蹴鞠の師範の家。
2)
「が」は底本「分」。諸本により訂正。
3)
蹴鞠の掛け声。
text/sesuisho/n_sesuisho3-061.txt · 最終更新: 2021/10/12 12:24 by Satoshi Nakagawa