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text:sesuisho:n_sesuisho3-028

醒睡笑 巻3 不文字

9 始めて奉公に出る侍のありしが奏者する人に御名字はと問はれ・・・

校訂本文

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始めて奉公に出る侍のありしが、奏者(そうしや)する人に、「御名字は」と問はれ、「磯貝(いそがい)」と答う。「磯は」と言へば返事なし。「さだめて磯辺の磯なるべし。『がい』は」と尋ぬれば、「よからふやうに」と。「しりがい1)がよからう」と言ふ。「何、せめてむながひ2)のがいにしてくだされよ」と。

されば時頼禅門3)

  読み書きのことさらいるは弓矢とり急度注進(きつとちうしん)急度回文(きつとくわいぶん)

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一 始て奉公(ほうこう)に出る侍のありしか奏者する人に
  御名字はととはれ磯貝(いそかい)とことふ磯はといへは
  返事なしさためて磯辺の磯なるべしがいは/n3-14l
  とたつぬれはよからふやうにとしりがいがよから
  ふといふ何せめてむなかひのがいにしてくたされ
  よとされば時頼(ときより)禅門も
   よみかきのことさらいるは弓矢とり
    急度注進急度回文/n3-15r
1)
2)
胸懸
3)
北条時頼
text/sesuisho/n_sesuisho3-028.txt · 最終更新: 2021/09/25 11:52 by Satoshi Nakagawa