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text:sesuisho:n_sesuisho3-006

醒睡笑 巻3 文字知り顔

6 医者に向かつて白朮とは何を申すや・・・

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医者に向かつて、「白朮(びやくじゆつ)とは何を申すや」。「をけらといふ草なり」と。

こびたることに思ひ、客をまうけたる席に、中間(ちうげん)、かの草を縁のはしに持ち出で、「白朮を掘りて参りた」と言はせ、「そこにおけら1)」と言うてくすめり。

近ごろ蚊虻(もんもう)2)なる人、感にたへ、帰りて中間に教へおき、わざと人を呼び振舞ひけるに、中間、うち忘れ、「をけらを掘りて参りた」と。亭主よう言ふ顔にて、「そこに白朮せよ」と。

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一 医者にむかつて白朮(ひやくじゆつ)とはなにを申やをけら
  といふ草なりとこひたる事におもひ客を
  まうけたる席(せき)に中間かの草をゑんのはし
  に持出白朮をほりて参りたといはせそこに
  をけらといふてくすめり近比蚊虻(もんもう)なる人/n3-5l
  感にたへ帰りて中間にをしへおき態(わさと)人を
  よひふるまいけるに中間打わすれをけらを
  ほりて参りたと亭主よふいふかほにてそこに
  白朮せよと/n3-6r
1)
オケラ・置けら
2)
文盲
text/sesuisho/n_sesuisho3-006.txt · 最終更新: 2021/09/12 12:34 by Satoshi Nakagawa