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醒睡笑 巻2 賢だて
15 革草履を履きて歩く者あやまちに足を蹴破りことのほか血の流るるを見て・・・
校訂本文
革草履(かはざうり)を履きて歩(あり)く者、あやまちに足を蹴破り、ことのほか血の流るるを見て、「笑止(せうし)や、いかに」と言ふ者あれば、「いや苦しからず。昔より、『革緒に塗る血1)』と あるほどに」。「さてよい作や」と人々讃めければ、「われも讃められんは、やすきことなり」とたくみ、足を破り血を流す。「何として」と人の問ふ時、「いや、これは大事なし。昔も『いろはにほへと』とあるほどに」。
翻刻
一 かわさうりをはきてありくものあやまち に足をけやふりことのほか血のなかるるを 見て笑止やいかにといふものあればいやくる しからすむかしよりかわをにぬるちと ある程にさてよいさくやと人々ほめけれは はれもほめられんはやすき事也とたくみ あしをやふり血をなかすなにとして/n2-54r
と人のとふ時いや是は大事なし むかしもいろはにほへととあるほとに/n2-54l
1)
いろは歌「ちりぬるをわか」を逆に読んだ「かわをるぬりち」をもじったもの。
text/sesuisho/n_sesuisho2-105.txt · 最終更新: 2021/09/09 02:50 by Satoshi Nakagawa