text:sesuisho:n_sesuisho2-087
醒睡笑 巻2 吝太郎(しはたらう)
17 貧僧ありて弟子ままにすれば案の外多く酒を取り寄する・・・
校訂本文
貧僧ありて、弟子、ままにすれば案の外(ほか)多く酒を取り寄する。「所詮(しよせん)、今よりは、銭二十には指二つ、頭(あたま)に上げん」と定めけり。
ある時、指二つ、鼻のわきにあてて見する。振舞ひ過ぎて問ふ、「いかなれば、今日の酒は多かりつる」と。「今日のは二十にてなし。そのゆゑは、鼻の中にして、指二つを両に当てられたほどに、鼻を十文にし、三十が取り寄せたるはの」。
翻刻
一 貧僧ありて弟子ままにすれは案の外おほ く酒をとりよする所詮今よりは銭廿には ゆひ二つあたまにあけんと定けりある時指 二つ鼻のわきにあてて見する振舞過て とふいかなればけふの酒はおほかりつるとけふ のは廿にてなし其故ははなの中にして ゆひ二つを両にあてられたほどにはなを十文 にし卅がとりよせたるはの/n2-45l
text/sesuisho/n_sesuisho2-087.txt · 最終更新: 2021/08/31 13:40 by Satoshi Nakagawa