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醒睡笑 巻2 吝太郎(しはたらう)
9 美濃の国にてある侍の内に丹波助太郎とて大欲心のいたづら者あり・・・
校訂本文
美濃の国にて、ある侍の内(うち)に、丹波助太郎とて、大欲心(だいよくしん)のいたづら者あり。誰にても目下(めした)なる人といへば、ねだれて物を取る者なり。
ある時、在郷にて、百姓、助太郎が歩(あり)くを見付け、肝を消し、いかにも隠れんとしけるを、「そこなるはどこの者ぞ」と問ふ。「ただ地下(ぢげ)の百姓」と答ふ。そのまま助太郎、「われに礼を百姓1)と言ふや。思ひも寄らず。せめて二百せよ」とぞ、まどはれける。
翻刻
一 美濃の国にてある侍の内に丹波助太郎 とて大欲心のいたつら者あり誰にても目 したなる人といへばねたれて物をとる者也 ある時在郷にて百姓助太郎がありくを見 付肝をけしいかにもかくれんとしけるをそ こなるはとこの者そととふたた地下の百姓 とこたふそのまま助太郎われに礼を百姓と いふやおもひもよらすせめて二百せよとそ まとはれける/n2-42l
1)
百姓・百(文)しよう
text/sesuisho/n_sesuisho2-079.txt · 最終更新: 2021/08/22 22:07 by Satoshi Nakagawa