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text:sesuisho:n_sesuisho2-058

醒睡笑 巻2 躻(うつけ)

26 思ふ同士四五人いざないて清水へ詣でしが・・・

校訂本文

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思ふ同士(どち)四・五人いざないて清水1)へ詣でしが、茶屋に腰かけながら、ひたもの餅を食ふ。をりから、一人にはかに言ひ出だしけるは、「やれやれ頬(ほほ)がすくみ口の開かれぬ病(やまひ)が出たは」とて、頭(かうべ)を下げ、難儀なるさまなりしかば、人みな肝を消し、「こはいかなることぞ」とうかがひ見けるに、編笠(あみがさ)を着ながら餅を食はんとせしゆゑなり。編笠の緒(を)を解き、頬をさすりて、「いかがあるや」と問ふに、かの男、しばらく思案して、「秘事はまつげじや」と。

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一 思ふとち四五人いさないて清水へまうてしか
  茶屋に腰かけなからひたもの餅をくふおり/n2-33r
  からひとり俄にいひ出しけるはやれやれほう
  かすくみ口のあかれぬやまひか出たはとてかう
  へをさけ難儀なるさまなりしかは人みな
  肝をけしこはいかなる事そとうかかひ
  見けるにあみかさをきなからもちをくはん
  とせし故也あみかさの緒をときほうをさす
  りていかかあるやととふに彼男しはらく思案
  して秘事はまつけしやと/n2-33l
1)
清水寺
text/sesuisho/n_sesuisho2-058.txt · 最終更新: 2021/08/13 19:20 by Satoshi Nakagawa