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text:sesuisho:n_sesuisho2-047

醒睡笑 巻2 躻(うつけ)

15 男子一人あり親の弔ひとて神子を請じ口寄する時に・・・

校訂本文

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男子一人あり。親の弔ひとて、神子(みこ)を請じ口寄する時に、神子、「親人は鮒1)になり水に遊ぶぞ。心安く思へ」と。「さらば」とて、池を掘り鮒をたくさんに放し、毎日食を投げ、あはれむこと年久し。朋友より会ふたびに「汁にせよかし」と勧むれども、かつて許さず。

かかりしが、主人をうつけとみなし、あるとき押して鮒を捕り、汁にするさへ惜しきに、子に向ひ、「まづ汁を吸うてみよ」といふに、うけとり2)、「あつたら、親ぢや人に、しほがない」と申しごとは。

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翻刻

一 男子一人あり親の弔とて神子を請し口
  よする時に神子親人は鯽になり水に
  あそふそ心安おもへとさらはとて池をほり
  ふなをたくさんにはなし毎日食を投あは
  れむ事年久し朋友よりあふ度に汁
  にせよかしとすすむれともかつてゆるさすかか
  りしか主人をうつけと見なしあるとき
  をして鯽をとり汁にするさへおしきに
  子にむかひまつ汁をすふてみよといふにかけ/n2-28l
  とりあつたら親しや人にしほかないと申ことは/n2-29r
1)
底本表記「鯽」
2)
「うけとり」は底本「かけとり」。諸本により訂正
text/sesuisho/n_sesuisho2-047.txt · 最終更新: 2021/08/03 18:37 by Satoshi Nakagawa