text:sesuisho:n_sesuisho2-013
醒睡笑 巻2 名付け親方
13 ちとおどけたる禅門法名を問ふに・・・
校訂本文
ちとおどけたる禅門、法名(ほふみやう)を問ふに、「われらは、うかとした呼び声は嫌(いや)でござある。二つながらはねた名を付けて賜はれ」と望む。「心得たり」とて、「順欽(じゆんきん)」と付けたり。「順はめぐる、欽は欽明天皇の欽の字ぞ」と教へければ、手を合はせて、「それは王様の御名(おな)の字なり。また用明天皇と申すも候ふか」と問ふ。「なかなか、それも同じ帝王にてあるぞ」。「とつくと合点(がてん)つかまつりたる」とて帰りぬ。
人、順欽の二字を問ふ。「順はめぐるなり。欽は用明天皇の欽の字よ」。すりちがうた1)。
翻刻
一 ちとおとけたる禅門法名をとふにわれらは うかとしたよひこゑはいやて御座ある二つ なからはねた名をつけてたまはれとのそむ 心得たりとて順欽とつけたり順はめくる 欽は欽明天皇の欽の字そとをしへけれは 手をあはせてそれは王様のおなの字なり/n2-9l
又用明天皇と申も候かととふ中々それも 同帝王にてあるぞとつくとかてん仕たる とてかへりぬ人順欽の二字をとふ順は めくる也欽は用明天皇の欽の字よ すりちがふた/n2-10r
1)
「すりちがうた」は底本改行して小書きで下の方に書く。
text/sesuisho/n_sesuisho2-013.txt · 最終更新: 2021/06/24 23:00 by Satoshi Nakagawa