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text:sesuisho:n_sesuisho2-011

醒睡笑 巻2 名付け親方

11 いかにも文盲なる者のさすが時々寺に出入りするあり・・・

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いかにも文盲なる者の、さすが時々寺に出入りするあり。茶をもらひて飲むたよりに1)、「ずんぎり」といふ字は何と書き参らするぞや」。「直切と書く」と教ふる。「さらば、書いて給ふれ」と所望し、火燧袋(ひうちぶくろ)に入れて持ちぬ。

齢(よはひ)ふりて、頭(かしら)を剃り、みづから名を「道ずん」と呼ぶ。聞く人みな、「珍しや。つひに聞きたることもない」など言ふて、「『ずん』の字は」と問ふ。「直切(ずんぎり)のずんの字をさへ知らいで、物書きだてはおやめあれ」と、けつくに。

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一 いかにももんまうなる者のさすか時々寺に
  出入するあり茶をもらひてのむてよりに
  ずんぎりといふ字はなにと書まいらするそや
  直切と書とをしふるさらはかいてたまふれ
  と所望し火燧袋にいれてもちぬ齢ふり/n2-8l
  てかしらをそりみつから名を道ずんとよふ
  聞人みなめつらしやつゐにききたることも
  ないなといふてすんの字はととふ直切のずん
  の字をさへしらいて物かきたてはおやめあれ
  とけつくに/n2-9r
1)
「たよりに」は底本「てよりに」。諸本により訂正。
text/sesuisho/n_sesuisho2-011.txt · 最終更新: 2021/06/23 22:21 by Satoshi Nakagawa