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text:sesuisho:n_sesuisho1-152

醒睡笑 巻1 祝ひ過ぎるも異なもの

20 陸奥の者を中間に置きたり・・・

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陸奥(みちのく)の者を中間(ちうげん)に置きたり。亭主、大晦日(おほつごもり)に、「明天早朝(みやうてんさうてう)には、何事をも祝言(しうげん)ばかり言ふべし。誤つて不吉の儀言はぬやうに」とぞ教へける。

件(くだん)の男、手水(てうづ)をつかひさし、「餅ぶん出しなされよ。焼き申さう」と言ふ。亭主1)、大きに腹を立て、いろりの際(きは)にありし木を打ちつけたり。

中間、重ねて、「ここな檀那のなげき2)しなさるるはの」。

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一 陸奥(みちのく)の者を中間に置たり亭主大晦日に
  明天早朝には何事をも祝言(しうけん)斗いふべし
  あやまつて不吉の儀いはぬやうにとそをしへ
  ける件の男手水(てうつ)をつかひさし餅ふんだしな
  されよやき申さうといふ亭大に腹をたて
  いろりのきはにありし木をうちつけたり
  中間かさねて爰な旦那のなけきしな
  さるるはの/n1-76l
1)
底本「主」なし。諸本により補う。
2)
投げ木・歎き
text/sesuisho/n_sesuisho1-152.txt · 最終更新: 2021/11/03 16:41 by Satoshi Nakagawa