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text:sesuisho:n_sesuisho1-115

醒睡笑 巻1 鈍副子

18 二番にかまへられたる聟殿舅の方へ始めて行く・・・

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二番にかまへられたる聟殿、舅(しうと)の方へ始めて行く。似たる1)を友の教へけるやう、「初対面(しよたいめん)に物を言はずは、うつけとこそ思ふべけれ。あひかまへ、何とぞ時宜(じぎ)をでかせよ」。「心得たり」とうけごひつるが、一言の挨拶となし。

すでに座を立たんとする時、聟殿が言ひ出すやう、「何と舅殿は一(ひと)かいほどある鴫(しぎ)を御覧じたことはおらないか」。「いや、見たることはおりない」。「私も見参らせぬ」と。

言はぬは言ふにまさるとやらん2)

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一 二番にかまへられたる聟殿舅(しうと)のかたへ始て
  行似(以か)たるを友のをしへけるやう初対面(しよたいめん)に
  物をいはすはうつけとこそおもふへけれ相構(かまへ)/n1-55r
  なにとそ時宜(しぎ)をてかせよ心得たりとうけ
  こひつるが一言の挨拶(あいさつ)となしすてに座を
  たたんとする時聟殿かいひ出すやうな
  にと舅殿は一抱(かい)ほとある鴫を御らんした
  事はおらないかいや見たる事はおりない私も
  見まいらせぬといはぬはいふにまさるとやらん/n1-55l
1)
底本「似」に「以か」と朱書で傍書。
2)
この行、底本小書き。
text/sesuisho/n_sesuisho1-115.txt · 最終更新: 2021/05/19 21:37 by Satoshi Nakagawa