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醒睡笑 巻1 落書
41 越前朝倉殿に子息十二人あり・・・
校訂本文
越前朝倉殿1)に子息十二人あり。金吾2)は十二番目なり。四番目を小太郎といひ、五番目を五郎といふ。五人張(ごにんばり)を引かれし強弓(つよゆみ)なり。
ある時、兄弟寄り合ひ給ひ、双方の侍衆相撲を取るに、小太郎方勝ちぬ。小太郎、弟に向ひ「参りた、参りたの」と名乗られし。五郎、無念に思はれ、近々と寄り、一刀に小太郎を切り殺されし。
小太郎の女中、尼になりて後、遺恨やまず、人数をもよほし、五郎の館(たち)へ押し寄せ、つひに国に置かれざりし時、
越前にものきれ二つ出で来たりあまくに3)太刀に五郎入道
翻刻
一 越前朝倉殿に子息十二人あり金吾は 十二番目なり四番めを小太郎といひ五 番目を五郎と云五人はりをひかれしつよ 弓也或時兄弟よりあひ給ひ双方の侍衆 相撲をとるに小太郎方勝(かち)ぬ小太郎弟/n1-36l
にむかひ参りた参りたのと名乗られし五郎 無念に思はれ近々とより一刀に小太郎を 切殺(きりころ)されし小太郎女中尼になりて後 いこんやまず人数を催し五郎のたちへ をしよせ終に国に置れさりし時 越前に物きれ二つ出来たり あまくにたちに五郎入道/n1-37r
text/sesuisho/n_sesuisho1-084.txt · 最終更新: 2021/05/05 18:39 by Satoshi Nakagawa