text:sesuisho:n_sesuisho1-006
目次
醒睡笑 巻1 謂へば謂はるる物の由来
6 随八百とは何をいふ・・・
校訂本文
「随八百(ずいはつぴやく)」とは何をいふ。
聟が舅(しうと)のもとに行き、慇懃に一礼ありて後、舅の言ふやう、「今までは公界(くがい)むきよし。この後は随(ずい)をいだひてあそばれ候へ」と。聟聞きて、肝をつぶし、京へにはかに随を買ひにのぼする。高声(かうじやう)に、「随を買はん」と呼ぶ。利口なる者行き合ひ、亀の子を「生き随これなり」とて、八百に売りたり。聟、喜び座敷へ持ちて出で、「随を出だし参らする」とて歩ませたり。
それより「随八百」とはいふと。をかしや。
翻刻
一 随八百とはなにをいふ聟かしうとのもとに 行いんきんに一礼ありて後しうとのいふ やう今まては公界むきよし此後は随をい たひてあそばれ候へと聟ききて肝をつぶし 京へ俄に随をかひにのほする高声に随をか はんとよぶ利口なる者行合亀の子をいきずい 是なりとて八百にうりたり聟よろこひ座/n1-7r
敷へ持て出随を出しまいらするとてあゆませ たりそれより随八百とはいふとおかしや/n1-7l
text/sesuisho/n_sesuisho1-006.txt · 最終更新: 2021/03/31 18:17 by Satoshi Nakagawa