text:myotatsu:ka_myotatsu12
12 いくえの豊廉
校訂本文
越後国にいくえの豊廉1)は、大般若経一部、曼陀羅(まだら)の浄土七帷(ななかたびら)、写し書き奉れり。また多宝塔一つを造れり。この功徳によりて、今日舎衛国(しやゑこく)の王となれり。しかりといへども、王の住む所定まらず。そのゆゑは、件(くだん)の塔をつくりて供養せし日、一人の法師に恥(はぢ)を与へたり。これによりて、造れる寺、みな破れ損じにたり。
翻刻
越後国ニイクエノ豊廉(門イ)ハ大般若経一部マタラノ浄土ナナカタヒラ/n2-53l・e2-50l
https://dl.ndl.go.jp/pid/1145963/1/53
ウツシカキタテマツレリ又多宝塔一ヲツクレリ此功徳ニヨリテ今日 舎衛国ノ王トナレリシカリトイヘトモ王ノスム所サタマラス其故ハ 件ノ塔ヲツクリテ供養セシ日一人ノ法師ニハチヲアタヘタリ是ニ ヨリテツクレル寺皆ヤフレソムシニタリ/n2-54r・e2-51r
1)
底本「廉」に「門イ」と傍書
text/myotatsu/ka_myotatsu12.txt · 最終更新: 2024/10/05 12:26 by Satoshi Nakagawa