こきんでんじゅ
『古今和歌集』の解釈に関する秘説を、口伝や切紙(切紙伝授)で師匠から弟子へ伝授すること。
荒唐無稽な説が多く、解釈としてはほとんど価値がないが、中世以降、歌道流派の継承と権威付けのために重要視された。
古今伝授が重視されるようになったのは、二条派の宗祇が東常縁から伝授を受けて以後とされ、宗祇から三条西実隆、細川幽斎らを経て智仁親王への伝授を御所伝授、宗祇から肖柏を経て堺の町衆に伝わったのを堺伝授という。
田辺城主であった細川幽斎が石田三成に城を包囲された際、後陽成天皇が古今伝授の絶えることを恐れ三成に助命を命じたというエピソードは、古今伝授の権威をうかがわせるものである。