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蒙求和歌

第7第6話(106) 李陵初詩

校訂本文

李陵初詩

李陵、漢王の御使ひとして、胡国を責めに赴(おもぶ)きて、五千の兵(つはもの)をして、十万の夷(えびす)に取りこめられて、年を経けり。

夷の王、禄をほどこして、使はむとすれども、従はずして、漢の節を思へり。夷、怒(いか)りて許さず。はるかに故郷を隔てて、ただ異類をのみぞ見ける。

時に蘇武、すでに都へ帰るよしを聞きて、蘇武に詩を送れり。

  手を携さへて、河梁に上る。遊子、暮に何でか之(ゆ)く。

またいはく、

  二(ふた)の鳬(かもめ)、倶に北に飛ぶ。一の鳬、独り南に朔る。余(われ)自ら新館に留る1)

五言の詩、これより始まれり。

  同じ江にむれ居るかものあはれにも帰る波路(なみぢ)を飛びおくれける

翻刻

李陵初詩
李陵漢王御使ヒトシテ胡国ヲセメニヲモフキテ五千ノ
ツハモノヲシテ十万ノエヒスニトリコメラレテトシヲヘケリ
エヒスノ王禄ヲホトコシテツカハムトスレトモシタカハスシ
テ漢ノ節ヲヲモヘリエヒスイカリテユルサスハルカニ故郷ヲ
ヘタテテタタ異類ヲノミソミケル時ニ蘇武ステニ宮コエ
返ルヨシヲキキテ蘇武ニ詩ヲヲクレリ
携サヘテ手ヲ上ル河梁ニ遊子暮ヘニ何テカ之ユク又云二(フタノ)鳬(カモメ)倶ニ北ニ飛フ
一ノ鳬メ独(ヒトリ)南ニ朔ル余(ワレ)自カラ留(トトマル)新〓ニ五言ノ詩コレヨリハシマレリ
  ヲナシエニムレヰルカモノアハレニモ
  カエルナミチヲトヒヲクレケル/d1-52r
1)
「館」は底本異体字。舎を二つ並べる。書陵部本二本により訂正。
text/mogyuwaka/ndl_mogyuwaka07-06.txt · 最終更新: 2017/12/27 14:01 by Satoshi Nakagawa
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