text:karakagami:m_karakagami5-03
目次
唐鏡 第五 後漢光武より献帝にいたる
3 後漢 光武帝(3 治世)
校訂本文
五年夏五月に白虹(はくこう)見えて天を渡る。十月に孔子を祀りて大学へ行幸あり。博士(はかせ)どもに物賜ふ。
六年水旱(すいかん)蝗虫(くわうちゆう)ありて災をなす。穀の値(あたひ)、騰躍(とうやく)し て、人1)みな苦しみ乏(とも)し。かやうのことによりて、百僚(はくれう)封事(ふじ)を奉りて、かくしいむことあることなし。
封事と申すは、君の御誤ち、また行はるべきことどもを書きて、封して袋に入れて奉るなり。この袋のやうなどをば、今の世には知りたる人もありがたくや。
十六年秋九月、河南尹張伋(かなんいんちやうきう)を呼び、「諸の郡守千余人、田を度ごと不実なり」とて、獄に下されて死ぬ。田はことに正直の者の検すべきことなり。九月のころほひ、郡国に群盗ところどころに聞こゆ。十月に盗を捕へらる。しづまりぬれば、民の家々、門をささず。
三十一年に陳留といふ所に穀降れり。形稗(ひえ)の実の2)ごとし。
中元元年、京師に醴泉(れいせん)涌き出でたり。これを飲む者は病癒えにけり。ただし、眇(すがめ)・躄(あしなへ)は癒えず。
翻刻
五年夏五月に白虹(ハクコウ)見えて天をわたる十月に孔子を まつりて大学へ行幸あり博士(ハカセ)ともに物たまふ/s130r・m230
六年水旱(カン)蝗虫(カウチウ)ありて災をなす穀のあたひ騰躍(トウヤク)し ていと(人イ)みなくるしみともしかやうの事によりて百僚(ハクレウ) 封事(フシ)をたてまつりてかくしいむことあることなし封(フ) 事(シ)と申は君の御あやまち又をこなはるへきことともを かきて封してふくろに入てたてまつるなりこのふく ろのやうなとをは今の世にはしりたるひともありかた くや十六年秋九月河南尹張伋(カナンインチヤウキフ)をよひ諸の郡守(クヰンシウ) 千余人田を度こと不実なりとて獄(コク)に下されて死ぬ 田は殊に正直の者の検へきことなり九月のころほひ 郡国(クヰンコク)に群盗(クンタウ)ところところにきこゆ十月に盗をとらへらる/s130l・m231
https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/100182414/130?ln=ja
しつまりぬれは民のいゑいゑ門をささす卅一年に陳 留といふところに穀ふれりかたち稗(ヒヱ)の実ことし 中元元年京師に醴泉(レイセン)わきいてたりこれをのむものは 病いえにけりたたし眇(スカメ)躄(アシナエ)はいえす/s131r・m232
text/karakagami/m_karakagami5-03.txt · 最終更新: 2023/03/22 02:22 by Satoshi Nakagawa