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十訓抄 第四 人の上を誡むべき事

4の15 寛平歌合に初雁を友則・・・

校訂本文

寛平歌合に、「初雁」を友則1)

  春霞かすみていにし雁がねの今ぞ鳴くなる秋霧の上に

と詠める。

左方にてありけるに、五文字を詠じたりける時、右方の人、ことごとく笑ひけり。さて、次の句に「かすみていにし」と言ひけるにこそ、音もせずなりにける。

ものを聞きも果てず、ひた騒ぎに笑ふこと、あるまじきことなり。また、さやうに思ひがけぬことも、詠むまじきにや。

また、人ありて、まことの誤りをしたりとも、わがため苦しみのなからむに、あながちに難じ謗(そし)りても、何かせむ。

翻刻

寛平哥合ニ、初雁ヲ友則/k166
  春カスミ霞テイニシ雁カネノ、今ソナクナル秋霧ノウヘニ
トヨメル左方ニテ有ケルニ、五文字ヲ詠シタリケルト
キ、右方ノ人コトコトク咲ケリ、サテ次ノ句ニカスミテイ
ニシト云ケルニコソ、音モセス成ニケレ、物ヲ聞モハテス
ヒタサハキニ笑事アルマシキ事也、又サヤウニ思カ
ケヌ事モヨムマシキニヤ、又人アリテ誠ノアヤマリヲ
シタリトモ、我タメ苦シミノナカラムニ、強ニ難シソシリ
テモ何カセム、/k167
1)
紀友則
text/jikkinsho/s_jikkinsho04-15.txt · 最終更新: 2015/11/14 15:48 by Satoshi Nakagawa
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