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十訓抄 第一 人に恵を施すべき事

1の12 俊頼朝臣語りていはく白河院淀に御方違への行幸ありけるに・・・

校訂本文

俊頼朝臣1)、語りていはく、「白河院、淀に御方違(かたたが)への行幸ありけるに、五月ばかりのことにやありけむ、女房・殿上人の舟あまたありけるに、暁になるほどに、向ひの方(かた)に、郭公(ほととぎす)一声ほのかに鳴て過ぐ。俊頼、一首詠ぜまほしく覚えしに、女房の舟中に忍びたる声にて、

  淀の渡りのまだ夜深きに

とながめられたりし、時にのぞみてめでたかりき。人々、感歎して今に忘れず。新しく詠みたらむにはまされり」となん言はれけり。

  いづかたへ鳴きて行くらむ郭公

といふ古歌の末なるべし。

翻刻

俊頼朝臣語云、白河院淀ニ御方違ノ行幸有ケルニ、
五月ハカリノ事ニヤ有ケム、女房殿上人ノ舟アマ
タ有ケルニ、暁ニナル程ニ、ムカヒノカタニ郭公一声ホノ/k34
カニ鳴テスク、俊頼一首詠セマホシク覚シニ、女房ノ
舟中ニ忍タル声ニテ、淀ノワタリノマタ夜深キニト
ナカメラレタリシ時ニ望テ目出タカリキ、人々感歎
シテ今ニ忘ス、新クヨミタラムニハマサレリトナンイ
ハレケリ、何方ヘ鳴テ行ラム郭公ト云古哥ノ末ナル
ヘシ、/k35
1)
源俊頼
text/jikkinsho/s_jikkinsho01-12.txt · 最終更新: 2015/08/29 13:07 by Satoshi Nakagawa
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