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text:ise:sag_ise076

伊勢物語

第76段 昔二条の后のまだ春宮の御息所と申しける時・・・

校訂本文

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昔、二条の后1)の、まだ春宮(とうぐう)の御息所(みやすんどころ)と申しける時、氏神に詣で給ひけるに、近衛府(このゑづかさ)にさぶらひける翁、人々の禄賜はるついでに、御車より賜ははりて、詠みて奉りける、

  大原やをしほの山も今日こそは神代2)のことも思ひ出づらめ

とて、心にも悲しとや思ひけん、いかが思ひけむ、知らずかし。

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翻刻

むかし二条のきさきのまた春宮のみやす/s84l

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/84?ln=ja

む所と申けるとき氏神にまうて給ける
にこの衛つかさにさふらひけるおきな
人々のろくたまはるついてに御車より
たまはりてよみてたてまつりける
  おほはらやをしほの山もけふこそは
  神世のこともおもひいつらめ
とて心にもかなしとやおもひけんいかか
おもひけむしらすかし/s85r

https://kokusho.nijl.ac.jp/biblio/200024817/85?ln=ja

1)
藤原高子
2)
底本表記「神世」
text/ise/sag_ise076.txt · 最終更新: 2024/01/26 22:36 by Satoshi Nakagawa