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text:chomonju:s_chomonju630

古今著聞集 飲食第二十八

630 俊頼朝臣秋の末つかたに田上といふ所へまかりたりけるに・・・

校訂本文

俊頼朝臣1)、秋の末つかたに、田上(たなかみ)といふ所へまかりたりけるに、稲をかけ積みたるを、「あれは何といふ稲ぞ」とぞ問ひければ、「法師子の稲なり」と言ひける。

またあしたに、「昨日の法師子の稲にて2)した る御味噌水(みそうづ)」とて食はせたりければ、詠み侍りける、

  昨日見し法師子の稲夜のほどにみそうづまでになりにけるかな

翻刻

俊頼朝臣秋のすゑつかたにたなかみといふ所へまかり
たりけるにいねをかけつみたるをあれはなにといふ
いねそとそ問けれは法師子のいねなりといひ
ける又あしたにきのふの法師子のいねかてした
る御みそうつとてくはせたりけれはよみ侍ける
 昨日みし法し子のいね夜の程にみそうつまてに成にける哉/s493l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/493

1)
源俊頼
2)
「にて」は底本「かて」。諸本により訂正。
text/chomonju/s_chomonju630.txt · 最終更新: 2020/12/03 20:24 by Satoshi Nakagawa