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古今著聞集 闘諍第二十四
505 鎌倉の右府の将軍家に正月朔日大名ども参りたりけるに三浦介義村・・・
校訂本文
鎌倉右府の将軍家1)に、正月朔日、大名ども参りたりけるに、三浦介義村2)もとより候ひて、大侍の座上に候ひけり。
その後、千葉介胤綱3)参りたりける、いまだ若者にて侍りけるに、多くの人を分け過ぎて、座上せめたる義村がなほ上にゐてけり。義村、しかるべくも思はで、憤りたる気色にて、「下総犬は臥しどを知らぬぞとよ」と言ひたりけるに、胤綱、少しも気色変はらで、とりあへず、「三浦犬は友を食らふなり」と言ひたりけり。
輪田左衛門4)が合戦の時のことを思ひて言へるなり。ゆゆしく、とりあへずは言へりける。
翻刻
鎌倉右府将軍家に正月朔日大名とも参たり けるに三浦介義村もとより候て大侍の座上に 候けり其後千葉介胤綱まいりたりけるいまた若 物にて侍けるにおほくの人を分すきて座上せめ/s405l
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たる義村か猶上にゐてけり義村しかるへくもおも はていきとをりたる気色にて下総犬はふしとを しらぬそとよと云たりけるに胤綱すこしも気 色かはらてとりあへす三浦犬は友をくらふ也といひ たりけり輪田左衛門か合戦の時のことをおもひ ていへるなりゆゆしくとりあへすはいへりける/s406r
text/chomonju/s_chomonju505.txt · 最終更新: 2020/09/13 19:28 by Satoshi Nakagawa