text:chomonju:s_chomonju365
古今著聞集 馬芸第十四
365 一条の二位入道のもとに高名の跳ね馬出で来たりけり・・・
校訂本文
一条の二位入道1)のもとに、高名の跳ね馬出で来たりけり。秦頼久を召して乗せられたりけるに、ひとたまりもせず跳ね落とされけるを、父敦頼が七十有余にて候ひけるが、これをみて、「悪(わろ)くつかうまつるものかな。敦頼はよも落ちじ」とぞ申しけるを、「老後にいかが」とは入道思ひながら、「さらば乗れかし」と言はれたりければ、やがて乗りて、少しも落ちざりけり。
人々、目を驚かしけり。
翻刻
一条二位入道のもとに高名のはね馬出来りけり秦 頼久をめしてのせられたりけるにひとたまりもせす はねおとされけるを父敦頼か七十有余にて候けるか 是をみてわろくつかうまつる物かな敦頼はよも落 しとそ申けるを老後にいかかとは入道おもひなから さらはのれかしといはれたりけれはやかて乗てす こしも落さりけり人々目を驚しけり/s266l
1)
藤原能保
text/chomonju/s_chomonju365.txt · 最終更新: 2020/05/05 23:19 by Satoshi Nakagawa