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古今著聞集 神祇第一
26 俊乗房東大寺建立の願を発してその祈請のために大神宮に詣でて・・・
校訂本文
俊乗房、東大寺建立の願を発して、その祈請のために大神宮に詣でて、内宮に七箇日参籠、七日満つ夜の夢に、宝珠を給はると見侍りけるほどに、その朝、袖より白珠落ちたりけり。目出たく忝(かたじけな)く思ひて、包みて持ちて出でぬ。
さて、また外宮に七日参籠、前(さき)のごとく、七日満つ夜の夢に、また前のごとく珠を給はられけり。末代といへども、信力の前に神明感応を垂れ給ふこと、かくのごとし。
その珠、一つは御室にありけり。一つは卿二品1)のもとに伝はり侍りける。
夢に、大師、「汝は東大寺造るべき者なり」と示させ給ひける。果してかくのごとし。ただ人にはあらぬなり。
翻刻
俊乗房東大寺建立の願を発してその祈請のために 大神宮にまうてて内宮に七箇日参籠七日みつ夜の夢に/s24l
宝珠を給ると見侍ける程にその朝袖より白珠おち たりけり目出く忝思てつつみて持て出ぬさて又外 宮に七日参籠さきのことく七日みつ夜の夢に又前 のことく珠をたまはられけり末代といへとも信力のまへに 神明感応を垂給事かくのことし其珠一は御室に ありけり一は卿二品のもとにつたはり侍ける夢に大師 汝は東大寺つくるへきものなりと示させ給けるはたし てかくのことしたた人にはあらぬなり/s25r
1)
藤原兼子
text/chomonju/s_chomonju026.1425979771.txt.gz · 最終更新: 2015/03/10 18:29 by Satoshi Nakagawa