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text:chomonju:s_chomonju013

古今著聞集 神祇第一

13 知足院殿内覧の宣旨を停められさせ給ひたることありけり・・・

校訂本文

知足院殿1)、内覧の宣旨を停(とど)められさせ給ひたることありけり。ねんころに春日大明神に祈念せさせ給ひけるほどに、大明神、北の政所(まんどころ)に付かせ給ひて、「今一世2)はあるべきなり」と、両三度仰せられけり。

歌を一首、詠ませ給ひたりけるとかや。尋ねて記すべし。

大明神、還御の後ぞ、北の政所、例の御心にはなり給ひにける。はたして、さらにまた御出仕ありて、天下の政(まつりごと)を執らせ給ひにけり。これ、しかしながら大明神の御恵みなり。

翻刻

知足院殿内覧宣旨をととめられさせ給たる事あり
けりねんころに春日大明神に祈念せさせ給ける程に/s16r

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/16

大明神北政所に付せ給て今一よ(世)はあるへきなりと両三
度仰られけり謌を一首よませ給たりけるとかや尋て
しるすへし大明神還御の後そ北政所例の御心にはなり
給にけるはたして更又御出仕ありて天下の政を執せ
たまひにけりこれ併大明神の御めくみなり/s17l

http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/17

1)
藤原忠実
2)
底本「今一よ」の「よ」に「世」と傍書
text/chomonju/s_chomonju013.txt · 最終更新: 2020/01/12 23:17 by Satoshi Nakagawa