へいちゅうものがたり
平仲物語とも書く。
平安時代中期に成立した、三十八段からなる歌物語。内容は「色好み」の平中(平貞文)を主人公とした話だが、貞文と併称される色好みである、在原業平を主人公のモデルとする『伊勢物語』とは違い、滑稽味のある話が多い。
完本は静嘉堂文庫本のみの孤本。
ほかに、御巫本大和物語に一部が混入しており、『源氏物語』の注釈『河海抄』に貞文日記として、異本の逸文が引用されている。