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text:yotsugi:yotsugi003

世継物語

第3話 和泉式部がむすめ小式部内侍失せにければ・・・

校訂本文

今は昔、和泉式部がむすめ、小式部内侍失せにければ、その子どもを見て、式部、

  とどめ置きて誰を哀れと思ふらん子はまさりけり子はまさらなん

また、書写の聖の御もとへ

  暗きより暗き道にぞ入ぬべきはるかに照らせ山の端の月

と詠み奉りたりければ、御返事に袈裟をぞ遣はしたりける。

病づきて失せんとしける日、その袈裟をぞ着たりける。歌の徳に後世も助かりけんと、目出度きことなり。

翻刻

今は昔和泉式部かむすめ小式部内侍うせにけれは
其子どもをみてしきぶ
  ととめをきて誰を哀と思ふらんこはまさりけりこはまさらなん
又しよしやの聖の御許へ
  くらきよりくらき道にぞ入ぬへきはるかにてらせ山のはの月
とよみ奉りたりけれは御返事にけさをぞ遣はしたり
ける病つきてうせんとしける日其けさをそきたりける歌
のとくに後世もたすかりけんと目出度事也/5オ
text/yotsugi/yotsugi003.txt · 最終更新: 2014/09/25 02:13 by Satoshi Nakagawa