text:yamato:u_yamato044
大和物語
第44段 同じ人にある人山へ登り給ふべき日はまだ遠くやあるいつぞと・・・
校訂本文
同じ人1)に、ある人、「山へ登り給ふべき日は、まだ遠くやある。いつぞ」と言へりければ、
のぼり行く山の雲井の遠ければ日も近くなるものにぞありける
とぞ、言ひおこせたりける。
かくのみ、良からぬことの、あるが上に出で来ければ、
のがるとも誰(たれ)か着ざらん濡れ衣はあめの下にも住まんかぎりは
と言ひけり。
翻刻
をなしひとにある人やまえのほり給へき 日はまたとをくやあるいつそといへりけれは/d23l
のほりゆくやまの雲ゐのとをけ れは日もちかくなるものにそありける とそいひをこせたりけるかくのみ よからぬことのあるかうへにいてきけれは のかるともたれかきさらんぬれき ぬはあめのしたにもすまんかきりは といひけり/d24r
text/yamato/u_yamato044.txt · 最終更新: 2017/06/20 16:29 by Satoshi Nakagawa