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text:sesuisho:n_sesuisho8-078

醒睡笑 巻8 頓作

78 ある出家旧友のもとに泊り頭巾を忘れて帰りたれば・・・

校訂本文

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ある出家、旧友のもとに泊り、頭巾を忘れて帰りたれば、その主(ぬし)の方へ文を添へて持たせ送りつる。

  行平のゆかりにたぐふお僧さま御立烏帽子残し給ひつ1)

返歌、

  立ち別れいなばやなんと思ひしに形見の頭巾今かへりきぬ2)

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翻刻

一 ある出家旧友のもとにとまり頭巾をわすれ
  て帰りたれは其ぬしのかたへ文をそへてもたせ
  送りつる
   行平のゆかりにたくふお僧さま
    御立烏帽子残し給ひつ
  返哥
   立別れいなはやなんとおもひしに
    形見の頭巾今かへりきぬ/n8-32l
1)
謡曲「松風」 「行平の中納言三年はここに須磨の浦、都へ上り給ひしが、此程の形見とて、御立烏帽子狩衣を、残し置き給へども。」による。
2)
在原行平「たち別れいなばの山の峰に生ふる・・・」による。
text/sesuisho/n_sesuisho8-078.txt · 最終更新: 2022/11/15 11:49 by Satoshi Nakagawa